質疑と見積もり 2月7日~27日

設計者の図面/現場説明の次は、施工者さんからの質疑の期間です。見積もりをご協力いただいている施工者さんから、我々設計者に、図面や不明な点などについての質疑が届きます。実はこの質疑で、施工者の真剣度がわかってしまいます。図面をしっかり見ている会社とそうでないところでは、質疑の質も量も雲泥の差なんです。そしてこの差は現場に入った後には施工の精度にも表れてくると感じています。各社で情報格差がないよう、4社の質疑を共通フォーマットに載せ、お返しします。こちら側も公正な競争となるよう配慮します。何のしがらみも無い週末建築活動であるからこそなお公正に。

質疑が終わり、いよいよ見積もりが出てきました。同じ情報をもとにして見積もりをしているのですが、1番高いところと1番安いところでは、約1,000万円の開きがありました。僕らの図面の不備ももちろんあるのですが、単価や数量、そして経費などが大きな差となって現れます。各社の見積書(ちょっとした雑誌くらいの厚み)を4冊分、丹念に読み込み、見比べていきます。

建築設計は、図面描きもそうですが、見積もり査定のような地味な作業の積み重ねがとても大変です。出来上がった建築の華やかさを見ると、そう言った地味な作業は嘘のようですが、業務の80%はそういった地道な作業の積み重ねで、スケッチを描いたり、模型を眺めて議論したりと一般的なイメージの設計業務は、残りの20%くらいでしかないように思います。

こういう地味な地道な作業を、石畠(Yoshi)は「いえつく」では全くやらないので、というか Yoshi の仕事は visionary thinking だと大きな事をいってごまかしてるだけなのですが。広告制作の仕事も実は地道な仕事多いんです。ほんとにそうなんです。ただ人が死なないのでチェックも準備も甘いだけなんです。

水野が日建設計学んだことの1つに、そういったデザイナーから敬遠されがちな地味な作業も、むしろクリエイティブに繋がるものであり、そこからコントロールすることで、表層のデザインで終わらない確かなものがつくれるという事があります。しかし、重要なのはもちろん80%のその時間を効率化し、クリエイティブな20%の時間ををいかに大きくし、濃密なものにしていくかです。

見積書は単に安いところが良いわけでもありません。図面との整合がとれていなければ、それは契約後現場に入ってもめる原因となります。適正価格で最大限に良い建築を考えることが、プロとしては重要かと思います。

施工者さんをチェックする力を作用させるためには、やはり設計と施工は分けるべきです。設計施工一括にすれば、たいてい設計料は不要で安く感じるとは思うのですが、しっかりした建築家に仕事を頼めば、見積もり時点での査定やVEで、設計料など元が取れてしまうので、圧倒的に施主にとってメリットがあると考えます。

約1週間かけ、見積書を読み込み、各工種内訳の比較、単価の確認、4社の比較表を作り上げました。これで、岡本社長に施工者選定のアドバイスをすべく報告に上がります。

コメントをどうぞ